スウェーデンに本部のある国際NGOから“持続可能性の原則”の特訓を受けたのが2015年。当時は日本国内では“持続可能性”“サステナブル”という言葉は新聞でも雑誌でもほとんど目にすることのない時期で、顧客企業に勉強会を提案しても、「それ何ですか？」という反応がほとんどでした。
　しかしそれ以降、パリ協定、SDGs採択などの動きが活発化し、上場企業はサステナビリティレポートを発表することが義務化され、今では知らないほうが恥ずかしいほど世界中の企業・政府・消費者が注目するキーワードになりました。
　持続可能性というと、いまだに環境ビジネス？社会課題ビジネス？ボランティア？という質問をされる方もいらっしゃいますが、今目の前の顧客に満足して製品サービスを喜んで選んで頂くこと、さらにこれから先も選び続けてもらうための経営のこと、と説明しています。私たちは環境活動家ではないし、社会活動家でもなく、経営コンサルタントとして顧客企業が選ばれ続ける企業となっていくことを支援することが使命ですであり、そのための不可欠な手段として、社会全体や環境にも目を向ける必要があるのです。従来のパラダイムでは環境や社会に配慮することと財務的満足は両立できないもの（トレードオフ）でした。実際にエコ製品は多くの場合従来品に比べて店頭価格は高いです。しかし目の前の短期的なコストではなく広い視点、中長期的な視点でみると、コストダウンになるものが多いはずです。は企業の経済的利益とトレードオフ（両立できない関係）に見えますが、調べてみると短期的に見てもトレードオン（両立可能）を実現している事業事例も増えてきており、企業の経済的利益のアクセルになっています。世界中の投資活動を見てもこの10年でサステナビリティファンドに大きく重心が動き、サステナブルではない事業を続けている企業からはダイベストメント（投資引き揚げ）が加速しています。
　とは言え、持続可能な経営を実現するため「世の中の持続可能性」と「売上利益の向上」の両立をすることは思い付きや小手先のテクニックでは実現できませんし、専門書を読んでも実現はカンタンにはいきません。社内にも社外にも従来の事業のやり方で成功体験を積み上げてきた方たちが少なからず存在（特に上層部）するからです。定観念から抜け出し、いくつものアイディアを案出し、修正し、「トレードオン」となる施策を生み出すプロセスが不可欠だからです。
コロナパンデミックはひと段落はしていますが、世の中は大きく変わってきています。大企業だけでなく、中小企業・ひとり起業家も含めて、持続可能性と経営の両立を実現することが豊かになるための条件になりつつあります。このことに気づいて動き出そうとする志のある「企業」と「人」を、全力で支援してまいります。