
経営コンサルタントとして顧客企業をよい状態に導くなら、経営者の右腕になってはいけない。実際に業績アップに貢献しているコンサルタントは決して社長の右腕になろうとせず適度な距離をとっています。右腕扱いされるということは経営者から頼りにされている証拠なのに、なぜ?という疑問を感じる人もいるかも知れませんが、なろうとしないのは以下の3つの理由があるからです。
理由の1つ目は、社長が経営コンサルタントを右腕のような距離・頻度で接するようになると、社長が自分で物事を考えたり悩んだりすることが確実に少なくなるからです。悩む前にコンサルタントに聞いてみよう、何かあればコンサルタントがいってくるだろう、という気持ちになり、適度な緊張感を維持できる経営者は多くはないからです。
2つ目の理由は、社員がだんだんとやる気をなくすからです。頻繁にコンサルタントに連絡をしている社長を社員たちはどのように見るでしょうか。「うちの社長はコンサルタントの言いなりになっているみたいだ」「社長は最前線で頑張っている私たちを頼りにしないで、またコンサルタント相談しているよ」と感じるでしょう。職場はだんだんとシラケてきてきます。自分たちが業績を盛り上げていくんだと前向きに取り組んできた社員ほど、脱力感は大きいはずです。現場がやる気にならなければ業績が上がることはまずありません。
3つ目の理由は、コンサルタント自身もよい仕事ができなくなってくることです。何か勘違いしてしまい、まるで自分が顧客企業の社員の上司にでもなったような、ぞんざいな口のきき方をしたり上から目線で話すようになったりする人もいれば、反対に社員がやるべき業務なのにコンサルタントが代わりにやろうとする場合もあります。どちらにしても経営コンサルタントとしての価値を下げる行動で、社員たちからすれば、できれば来てほしくない人になってしまいます。顧客企業とは適度な距離を保つことが大事なのです。
では、社長から右腕のように扱われたらどうするべきでしょうか。正解があるわけではありませんが「社長、早く社内で右腕になってくれる人を育てる必要がありますね」とハッキリ伝えるのがよいと思っています。そして「右腕になれる方が何人もおられるのですから、もしもまだ力不足とお感じなら私に経営幹部育成教育を任せて頂けませんか?」と提案すればよいのです。皆さんならどうされますか。 (2025年3月14日)